LoRa通信とは?低消費電力×長距離通信でIoTの可能性を広げる無線技術をわかりやすく解説

ミットディア編集部
Leafony
IoT
LoRa
LoRa通信とは?低消費電力×長距離通信でIoTの可能性を広げる無線技術をわかりやすく解説

この記事のポイント

LoRa(Long Range)は、省電力で長距離通信が可能なLPWA無線技術です。見通しの良い環境で約3km、市街地でも約500mの通信に対応し、バッテリー駆動で8〜10年の長期稼働を実現します。一方で、1回に送れるデータ量は1〜2KB程度と小さく、平文送信時のセキュリティにも注意が必要です。本記事では、LoRa通信の仕組み・実測データに基づく通信距離・メリットとデメリット・暗号化チップによるセキュリティ対策・IoT活用事例までを体系的に解説します。

目次

  1. 第1章:LoRa通信ってなに? まずは基本をおさえよう
  2. 第2章:どのくらい届く? LoRaの通信距離を実測データで検証
  3. 第3章:なぜ省電力? LoRaがバッテリーを長持ちさせる仕組み
  4. 第4章:LoRa通信のメリットとデメリット
  5. メリット
  6. デメリット
  7. デメリットへの対処法
  8. 第5章:LoRa通信のセキュリティ 暗号化チップによる対策
  9. 第6章:センサーからクラウドまで データはどう届く?
  10. 第7章:LoRaはどんな場面で使える? 活用シーンと他の通信方式との比較
  11. 活用シーン
  12. 他の通信方式との比較
  13. 第8章:LoRaを活用したIoTのご相談はミットディアへ
  14. LoRa通信を手軽に試してみたい方へ
  15. 本格的なIoT導入をご検討の方へ

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第1章:LoRa通信ってなに? まずは基本をおさえよう

LoRaは「Long Range(長距離)」の略で、少ない電力で遠くまでデータを飛ばせる無線通信技術です。LPWA(Low Power Wide Area)と呼ばれるカテゴリに属しており、IoTセンサーとの相性が非常に良い通信方式として注目されています。

LoRaの特徴は大きく2つあります。「電力をほとんど使わない」ことと、「長い距離を通信できる」ことです。Wi-FiやBluetoothと比べると通信速度は遅いのですが、バッテリーの持ちが段違いに良く、数百メートルから数キロメートルという広い範囲をカバーできます。

たとえるなら、Wi-Fiが「近くの人と大声で早口に話す」イメージだとすると、LoRaは「遠くの人に小さな声でゆっくり、でも確実にメッセージを届ける」ようなイメージです。IoTセンサーが送るデータは温度や傾きといった小さな数値がほとんどなので、通信速度よりも「省電力」と「長距離」の方がはるかに重要です。

なお、LoRaと混同されやすい用語に「LoRaWAN」があります。LoRaは電波の変調方式(物理層)を指し、LoRaWANはその上に構築されたネットワーク仕様です。詳しくは別記事「LoRaとLoRaWANの違い」で解説していますので、そちらもあわせてご覧ください。


第2章:どのくらい届く? LoRaの通信距離を実測データで検証

LoRaの通信距離は、環境や設定によって大きく変動します。一般的には、障害物がなければ数kmから10km、市街地でも500m程度と言われています。

ミットディアでは、インフラ監視向けのIoTシステムにLoRaを採用しており、実際のフィールドで通信テストを行っています。2024年7月の実証実験では、見通しの良い環境で約3kmの安定通信に成功しました。建物や樹木などの障害物がある環境でも、約500mの通信が安定して行えることを確認しています。

通信距離に影響を与える要因は、主に以下の4つです。

要因

影響

障害物(建物・樹木・地形)

見通しありの場合と比べて距離が大幅に短くなる

拡散率(SF値)

SF値を大きくすると到達距離が伸びるが、通信時間が長くなる

アンテナの設置高・種類

高い位置に設置するほど到達距離が改善する

気象条件(雨・霧)

920MHz帯は気象の影響を受けにくいが、豪雨時はやや減衰する

送電鉄塔の監視を例に取ると、鉄塔同士の間隔はだいたい200〜400m程度です。障害物があっても500m届くのであれば、隣の鉄塔付近に設置した親機(受信機)までデータを送ることに十分対応できます。橋梁や道路のような直線的な構造物であれば、見通し距離3kmのメリットをさらに活かせます。

導入前に現地で電波の到達テストを行うことが大切ですが、「電源のない屋外で、数百メートルから数キロの範囲をカバーする」という用途において、LoRaは有力な選択肢です。


第3章:なぜ省電力? LoRaがバッテリーを長持ちさせる仕組み

LoRaは、データを断続的に送信するIoT用途に特化して設計されており、待機時の電力消費が非常に少ないのが特長です。待機(スリープ)時は数uA(マイクロアンペア)レベル、通信時でも数十mA程度しか消費しません。Wi-Fiモジュールが通信時に数百mAを消費するのと比べると、桁違いの省電力性です。

IoTセンサーが送るデータは「現在の傾斜角度は0.5度」「温度は23.4℃」といったごく小さなテキストデータがほとんどです。1回の送信にかかる時間も電力もわずかで済みます。

LoRaを使ったセンサーは、普段は「スリープモード」で待機し、データを送信する瞬間だけ起動する間欠動作で運用するのが一般的です。たとえば10分に1回だけデータを送り、それ以外の時間はほぼ電力を消費しません。こうした仕組みにより、大容量バッテリーと組み合わせることで、電池交換なしで8〜10年程度の長期稼働が実現できます。

山間部の鉄塔、高速道路の橋梁、遠方のインフラ設備といった場所にセンサーを設置する場合、電池交換のために毎年人を派遣する必要がなくなります。「一度設置したら、何年もそのまま動き続ける」という省電力性は、屋外IoTにとって最も重要な要件のひとつです。

ただし、送信頻度がバッテリー寿命に大きく影響する点には注意が必要です。10分間隔なら8〜10年持つ構成でも、30秒間隔に短縮すると1〜2年程度にまで短くなります。用途に応じた送信頻度の設計が、長期運用のカギを握ります。


第4章:LoRa通信のメリットとデメリット

LoRa通信にはIoT用途において大きなメリットがありますが、万能ではありません。導入を検討する際には、デメリットもきちんと理解しておくことが重要です。

メリット

メリット

詳細

省電力

スリープ時数uA。バッテリー駆動で8〜10年の長期稼働が可能

長距離通信

見通しありで数km〜10km、市街地でも500m程度をカバー

免許不要

日本では920MHz帯を使用し、無線免許なしで利用可能

低コスト

モジュール単価が安く、通信キャリアの月額費用もかからない(自営網の場合)

デメリット

デメリット

詳細

データ量が小さい

1回に送れるデータは1〜2KB程度。画像や動画の送信には不向き

通信速度が遅い

最大でも数十kbps。リアルタイム性を求める用途には適さない

上り通信がメイン

子機からのデータ送信に最適化されており、双方向の頻繁なやり取りには不向き

セキュリティの考慮が必要

標準のLoRa通信は平文で送信されるため、暗号化の実装が別途必要

デメリットへの対処法

LoRaのデメリットは、システム構成の工夫でカバーできるケースが多くあります。

データ量・通信速度の制約には、送信データを必要最小限に絞る設計で対応します。温度・傾斜・振動といったセンサー値は数十バイトで十分に表現でき、LoRaの通信容量に収まります。センサーデータの送信であれば、この制約が問題になることはほとんどありません。

セキュリティの課題については、次の章で詳しく解説します。


第5章:LoRa通信のセキュリティ 暗号化チップによる対策

LoRa通信のデメリットとして見過ごせないのが、セキュリティの問題です。

通常、LoRaは平文で送信するとデータが暗号化されていない状態になります。LoRaWANプロトコルを使う場合はAES-128暗号化が標準で組み込まれていますが、プライベートLoRa(自営網)ではこの保護が自動的には適用されません。

この課題に対して、IoTプラットフォーム「Leafony」の通信リーフであるLoRa Mary(AC-07)には暗号化チップが搭載されています。このチップを利用することで、LoRaWANを使わないプライベート通信であっても、データ自体を暗号化して送信することが可能です。

具体的な暗号化の実装方法については、Leafonyの公式ドキュメントにサンプルコードが公開されています。

AC-07 LoRa Mary ドキュメント

インフラ監視のように機密性の高いデータを扱う場面では、通信の暗号化は必須要件です。LoRaのセキュリティについてさらに詳しく知りたい方は、別記事「LoRa通信のセキュリティ」もあわせてご覧ください。


第6章:センサーからクラウドまで データはどう届く?

LoRa通信を使ったIoTシステムでは、センサーが取得したデータがどのような経路でクラウドに届くのかを見てみましょう。

まず、現場に設置された子機(IoTセンサー)が、傾斜や温度などのデータを計測します。この子機がLoRa無線で近くの親機(ゲートウェイ)にデータを送信します。親機はソーラーパネルと大容量バッテリーを搭載しており、子機と同じく電源工事不要で屋外に設置できます。

親機は受信したデータを、モバイルデータ通信(LTE-M回線など)を使ってインターネット経由でクラウドに転送します。クラウド上ではデータがリアルタイムに蓄積・表示され、あらかじめ設定した閾値を超えた場合にはアラート通知が届きます。

この「子機 → LoRa → 親機 → LTE-M → クラウド」という2段階の通信構成がポイントです。子機は省電力なLoRaだけを使えばよいので長寿命になり、インターネット接続に必要な電力は親機側が担います。役割を分担することで、システム全体の効率と信頼性を両立しています。


第7章:LoRaはどんな場面で使える? 活用シーンと他の通信方式との比較

LoRa通信が活躍する場面は、屋外のインフラ監視にとどまりません。「電源が取りにくい場所」「広い範囲に分散した機器を監視したい場面」であれば、幅広い業種・用途に適用できます。

活用シーン

  • 送電鉄塔・発電所の監視: 振動・傾斜データを遠隔で常時モニタリング
  • 橋梁・道路のインフラ点検: 老朽化の兆候を早期に検知
  • 河川・ため池の水位監視: 防災・減災のためのリアルタイムデータ収集
  • 農業の環境モニタリング: 土壌水分・温湿度の自動計測
  • 工場の設備監視: 稼働状況や異常の早期検知
  • 物流倉庫の温度管理: 冷蔵・冷凍倉庫の温度逸脱を監視

共通しているのは「小さなデータを定期的に送る」「センサーを長期間メンテナンスフリーで動かしたい」というニーズです。

他の通信方式との比較

通信方式

通信距離

消費電力

データ量

月額コスト

向いている用途

LoRa

数百m〜数km

非常に低い

小さい(1〜2KB)

なし(自営網)

屋外IoTセンサー、インフラ監視

LTE-M

キャリアエリア全域

低い

中程度

あり(SIM契約)

移動体、広域モニタリング

Wi-Fi

数十m

高い

大きい

なし(設備費)

屋内、映像伝送

Bluetooth

数m〜数十m

低い

中程度

なし

ウェアラブル、近距離通信

LTE/4G/5G

キャリアエリア全域

高い

非常に大きい

あり

スマートフォン、映像伝送

「大量のデータを送る必要はないけど、広い範囲を長期間カバーしたい」という用途では、LoRaが最も合理的な選択肢になります。一方で、リアルタイムの映像伝送や大容量ファイルの転送には向きません。IoTの用途に応じて、適切な通信方式を選ぶことが大切です。


第8章:LoRaを活用したIoTのご相談はミットディアへ

ここまで、LoRa通信の仕組み・通信距離・メリットとデメリット・セキュリティ・活用事例についてご紹介してきました。

ミットディア株式会社は、このLoRa通信を活用した省電力IoTシステムの開発・提供を行っています。IoTデバイスの設計・製造からクラウドシステムの構築まで、ハードとソフトの両方を一社で対応しているのが特徴です。

LoRa通信を手軽に試してみたい方へ

IoTプラットフォーム「Leafony」のプロフェッショナル向け開発キットLeafony Pro Kitは、LoRa通信の送受信からクラウド連携までを体験できます。LoRa Mary(AC-07)を同梱しており、開封後すぐにLoRa通信の実験を始められます。

本格的なIoT導入をご検討の方へ

Koala IoTは、LoRa通信を核としたインフラ保全向けモニタリングシステムです。子機最大100台のLoRaネットワークを構成でき、送電鉄塔・橋梁・河川水位など、さまざまなインフラの遠隔監視に対応しています。

センサーの種類は傾き、振動、温度、湿度、歪み、風向・風速など、用途に合わせてカスタマイズ可能です。「電源のない屋外にセンサーを置きたい」「現場のデータをクラウドで見えるようにしたい」といったご要望があれば、お気軽にご相談ください。まずは小さく試してみたいというPoCからのスタートも歓迎しています。

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