Leafonyを動かす電源の仕組み!Basic Kit 2の「AV01 CR2032 電源リーフ」を解説

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はじめに
IoTデバイスは、センサーがあり、マイコンがあり、通信モジュールがあって初めて機能します。しかし、それらすべてに電力を供給する電源がなければ何も動きません。
Leafony Basic Kit 2に同梱されている AV01 CR2032 電源リーフ は、コイン電池1個でシステム全体を駆動するための電源モジュールです。単に電池を載せるだけの基板ではなく、昇圧回路や電池電圧のモニタリング機能を備えた、小さいながらも設計意図の詰まったリーフです。
本記事では、AV01の回路構成と搭載ICの特性を紐解きながら、CR2032駆動のIoTセンサーノードを設計するうえで押さえておきたいポイントを解説します。
Leafony(リーフォニー)とは
Leafonyは、リーフと呼ばれる小型基板を積み重ねて使うモジュール型のIoT開発プラットフォームです。マイコン・センサー・通信・電源といった機能ごとに基板が分かれており、用途に応じて必要なリーフを組み合わせる設計思想を採用しています。
基板サイズはおよそ2cm×2cm。小型・低消費電力を志向した設計が特徴で、コイン電池駆動のIoTセンサーノードや省スペースな試作に向いています。
Basic Kit 2はLeafonyの入門キットで、マイコンリーフ・センサーリーフ・通信リーフ・電源リーフなど、IoTデバイスの基本構成に必要なリーフが一式揃っています。
AV01の基本スペック
項目 | 仕様 |
|---|---|
昇圧IC | TPS61099YFFR(Texas Instruments) |
入力電圧範囲 | 0.7〜3.8V |
出力電圧 | 3.3V(±2%) |
最大出力電流 | 300mA(3.3V〜5V出力時) |
制御方式 | PWM/PFM自動切替 |
保護機能 | 過電流保護、熱シャットダウン |
電圧モニタIC | ADC081C027CIMK(8bit ADC、I2Cアドレス: 0x50) |
電源スイッチ | あり |
使用電池 | CR2032(標準容量約220mAh) |
基板サイズ | W24×D20.5×H8.7mm |
基板サイズは他のリーフ(W23×D20.5mm前後)と比べてわずかに幅が広く、厚みもH8.7mmと大きめです。これはCR2032電池ホルダーを搭載しているためで、電池を含めたスタック全体の高さに影響する点は、筐体設計の際に考慮が必要です。

昇圧回路の役割 ── CR2032の3Vを3.3Vへ
CR2032の公称電圧は3.0Vです。一方、Leafonyのマイコンリーフやセンサーリーフは3.3V動作を前提としています。この電圧差を埋めるのが、AV01に搭載された昇圧DC-DCコンバーター TPS61099YFFR です。
TPS61099YFFRの主な特徴
低い入力電圧から動作できる
TPS61099YFFRは、0.7〜3.8Vの入力電圧範囲に対応しています。CR2032は使用に伴って電圧が低下していくため、低い入力電圧でも動作できる昇圧回路を備えていることは、電池駆動のシステムにとって重要です。
PWM/PFM自動切替による高効率動作
TPS61099は負荷電流に応じてPWM(パルス幅変調)モードとPFM(パルス周波数変調)モードを自動で切り替えます。
- PWM: 負荷が大きいとき(BLE通信時など)に安定した出力を維持
- PFM: 負荷が小さいとき(スリープ時など)にスイッチング回数を減らし、自己消費電流を抑制
IoTセンサーノードは「ほとんどの時間スリープしていて、短時間だけ起きて処理する」という動作パターンが基本です。PFMモードによってスリープ中の電力ロスを最小限に抑えられるため、電池寿命に直結する重要な機能と言えます。
過電流保護・熱シャットダウン
短絡や過負荷が発生した場合に回路を保護する機能も内蔵されています。試作段階での配線ミスや、想定外の負荷がかかった場合のフェイルセーフとして機能します。
電池電圧モニタリング ── バッテリー残量を把握する
AV01には昇圧回路に加えて、電池電圧を監視するための ADC081C027CIMK が搭載されています。
項目 | 仕様 |
|---|---|
分解能 | 8bit(256段階) |
インターフェース | I2C(アドレス: 0x50) |
メーカー | Texas Instruments |
このADCはCR2032の電圧をデジタル値に変換し、マイコンからI2C経由で読み取ることができます。8bit分解能のため、電池電圧の変化や低下傾向を把握する用途に使えます。
なぜ電圧モニタリングが重要か
CR2032は放電末期に急激に電圧が低下する特性があります。電圧を定期的に監視することで、以下のような運用判断が可能になります。
- 閾値を設けた警告: 電圧が一定値を下回ったらBLE経由で電池交換アラートを送信
- データ品質の担保: 電圧低下時にセンサー精度が落ちる前に計測を停止
- 電池寿命の予測: 電圧推移のログから、残りの動作可能期間を推定
とくにメンテナンスが困難な屋外設置のセンサーノードでは、「電池が切れたことに気づかない」というのが最も避けたい事態です。電圧モニタリングはそのリスクを軽減する実用的な機能です。
省電力設計との連携 ── システム全体で電池寿命を延ばす
AV01単体の効率が高くても、システム全体の消費電力が大きければ電池は早く消耗します。CR2032を使った運用では、他のリーフとの組み合わせも含めたシステムレベルの省電力設計が重要です。
マイコンをスリープさせる、センサーを必要なときだけ動かす、通信回数を抑えるといった工夫を組み合わせることで、AV01の電池駆動のメリットを活かしやすくなります。
AV01はPWM/PFM自動切替に対応しているため、負荷が変動するシステムでも効率を意識した電源構成を取りやすい点が特長です。
CR2032の特性と制約 ── 設計時に知っておくべきこと
CR2032はIoT機器やウェアラブルデバイスで広く使われるコイン型リチウム電池ですが、設計時に理解しておくべき特性と制約があります。
標準容量は約220mAh
CR2032の容量は製品によって異なりますが、代表的には約220mAhです。単三電池(約2,000mAh)の10分の1程度であり、潤沢とは言えません。だからこそ、前述の省電力設計が重要になります。
大電流が苦手(パルス放電特性)
CR2032の内部抵抗は比較的高く、大電流を連続して流すと電圧が大きく降下します。BLE送信時のように瞬間的に10mA以上の電流が流れる場面では、一時的に電圧が落ち込む現象(パルス放電特性)が発生します。
AV01の昇圧回路はこの電圧降下を吸収して3.3Vを維持しますが、あまりに頻繁な大電流消費は電池寿命を短縮させます。BLEの送信頻度やセンサーのサンプリングレートは、CR2032のパルス放電特性を考慮して設計する必要があります。
温度特性
CR2032は低温環境で容量が低下します。メーカーの公称値は20℃前後での測定値であり、0℃以下では実効容量が大幅に減少する場合があります。屋外設置を想定する場合は、冬季の最低気温を考慮した電池寿命の見積もりが必要です。
まとめ
AV01 CR2032 電源リーフは、コイン電池1個でIoTセンサーノードを駆動するための電源基板です。TPS61099YFFRによる3.3V出力とPWM/PFM自動切替、ADC081C027CIMKによる電池電圧モニタリングを備えており、小型の電池駆動システムを構成しやすいのが特長です。
電源リーフは地味なコンポーネントに見えますが、IoTデバイスの稼働時間を決定づける重要な要素です。マイコンの省電力機能、センサーのスタンバイモード、BLEの間欠通信と組み合わせることで、CR2032の限られた容量を最大限に活かした長期運用が実現できます。
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