LoRa通信とは?低消費電力×長距離通信でIoTの可能性を広げる無線技術をわかりやすく解説
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第1章:LoRa通信ってなに?──まずは基本をおさえよう
IoTに興味がある方なら、「LoRa」という言葉を目にしたことがあるかもしれません。LoRaは「Long Range(長距離)」の略で、少ない電力で遠くまでデータを飛ばせる無線通信技術です。LPWA(Low Power Wide Area)と呼ばれるカテゴリに属しており、IoTセンサーとの相性が非常に良い通信方式として注目されています。
もう少しかみ砕くと、LoRaの特徴は大きく2つ。「電力をほとんど使わない」ことと、「長い距離を通信できる」ことです。Wi-FiやBluetoothと比べると通信速度は遅いのですが、その分バッテリーの持ちが段違いに良く、しかも数百メートルから数キロメートルという広い範囲をカバーできます。
たとえるなら、Wi-Fiが「近くの人と大声で早口に話す」イメージだとすると、LoRaは「遠くの人に小さな声でゆっくり、でも確実にメッセージを届ける」ようなイメージです。IoTセンサーが送るデータは温度や傾きといった小さな数値がほとんどなので、通信速度よりも「省電力」と「長距離」の方がはるかに重要。だからこそLoRaが選ばれるのです。
第2章:どのくらい届く?──LoRaの通信距離を実験で検証してみた
「長距離通信ができる」とは言っても、実際にどのくらいの距離で使えるのか気になるところですよね。LoRaの通信距離は通信環境や設置環境、LoRaの設定といった様々な要素で変動するのですが、一般的には数キロから10キロ程度と言われることが多いです。
私たちミットディアでは、インフラ監視向けのIoTシステムにLoRaを採用しており、実際のフィールドで通信距離の検証を行っています。その結果、建物や樹木などの障害物がある環境でも約500m、見通しの良いひらけた場所では約3kmの通信が安定してできることを確認しました。
これがどのくらい実用的かというと、たとえば送電鉄塔の監視を考えてみてください。鉄塔同士の間隔はだいたい200〜400m程度ですから、障害物があっても500m届くのであれば、隣の鉄塔付近に設置した親機(受信機)まで十分にデータを送ることができます。橋梁や道路のような直線的な構造物なら、見通し距離3kmのメリットをさらに活かすことができます。
もちろん、地形や天候、周囲の電波環境によって通信距離は変動します。導入前に現地で電波の到達テストを行うことが大切ですが、「電源のない屋外で、数百メートル〜数キロの範囲をカバーする」という用途において、LoRaは非常に頼もしい選択肢です。
第3章:なぜ省電力?──LoRaがバッテリーを長持ちさせる仕組み
LoRaのもうひとつの大きなメリットが「省電力」です。では、なぜLoRaは電力消費が少ないのでしょうか。
LoRaは、データを断続的に送信するIoT用途に特化して設計されており、待機時の電力消費が非常に少ないのが特長です。具体的には、待機(スリープ)時は数μA(マイクロアンペア)レベル、通信時でも数十mA程度しか消費しません。Wi-Fiモジュールが通信時に数百mAを消費するのと比べると、桁違いの省電力性です。
加えて、IoTセンサーが送るデータは「現在の傾斜角度は0.5度」「温度は23.4℃」といったごく小さなテキストデータがほとんどです。一回の送信にかかる時間も電力もわずかで済むため、通信のたびにバッテリーを大きく消耗するということがありません。
さらに、LoRaを使ったセンサーは、普段は「スリープモード」で待機し、データを送信する瞬間だけ起動する間欠動作で運用するのが一般的です。たとえば10分に1回だけデータを送り、それ以外の時間はほぼ電力を消費しない。こうした仕組みにより、大容量バッテリーと組み合わせることで、電池交換なしで5〜8年程度の長期稼働が実現できます。
これがどれだけ大きいかは、設置場所を想像してみるとよくわかります。山間部の鉄塔、高速道路の橋梁、遠方のインフラ設備──こうした場所に設置したセンサーの電池交換のために毎年人を派遣していたのでは、コストも手間も膨大です。「一度設置したら、何年もそのまま動き続ける」という省電力性は、屋外IoTにとって最も重要な要件のひとつなのです。
第4章:LoRa通信の仕組み──センサーからクラウドまでデータはどう届く?
LoRa通信を使ったIoTシステムでは、センサーが取得したデータがどのような経路でクラウドに届くのか。当社ミットディアのインフラ監視システムを例にして全体の流れを見てみましょう。

まず、現場に設置された子機(IoTセンサー)が、傾斜や温度などのデータを計測します。この子機がLoRa無線で近くの親機(受信機)にデータを送信します。親機はソーラーパネルと大容量バッテリーを搭載しており、子機と同じく電源不要で屋外に設置できます。
親機は受信したデータを、モバイルデータ通信(LTE回線など)を使ってインターネット経由でクラウドに転送します。クラウド上ではデータがリアルタイムに蓄積・表示され、あらかじめ設定した閾値を超えた場合にはメールでアラート通知が届く仕組みです。
この「子機→LoRa→親機→モバイル通信→クラウド」という2段階の通信構成がポイントです。子機は省電力なLoRaだけを使えばよいので長寿命になり、インターネット接続のための電力は親機側が担ってくれます。役割を分担することで、システム全体の効率と信頼性を両立させているわけです。
第5章:LoRaはどんな場面で使える?──活用シーンと他の通信方式との比較
LoRa通信が活躍する場面は、屋外のインフラ監視にとどまりません。「電源が取りにくい場所」「広い範囲に分散した機器を監視したい場面」であれば、幅広い業種・用途に適用できます。
たとえば、工場の設備監視、鉄道沿線の防音壁の傾き検知、農業における土壌水分のモニタリング、物流倉庫の温度管理、河川の水位監視など、用途はさまざまです。共通しているのは「小さなデータを定期的に送る」「センサーを長期間メンテナンスフリーで動かしたい」というニーズです。
ここで、主な無線通信方式との違いを簡単に整理しておきましょう。Wi-Fiは高速で大容量のデータが送れますが、通信距離が短く消費電力も大きいため屋外IoTには不向きです。Bluetoothはさらに短距離向けで、ウェアラブルなどの近距離通信が得意です。LTE/4G/5Gは広範囲・大容量に対応しますが、通信モジュールの消費電力やランニングコストが高くなります。LoRaは通信速度こそ低いものの、省電力・長距離・低コストという3つの強みを兼ね備えており、「大量のデータを送る必要はないけど、広い範囲を長期間カバーしたい」という用途では最も合理的な選択肢になります。
もちろん万能ではなく、リアルタイムの映像伝送や大容量ファイルの転送には向きません。IoTの用途に応じて、適切な通信方式を選ぶことが大切です。
第6章:LoRaを活用したIoTのご相談はミットディアへ
ここまで、LoRa通信の基本的な仕組みや特徴、活用シーンについてご紹介してきました。
私たちミットディア株式会社は、このLoRa通信を活用した省電力IoTシステムの開発・提供を行っています。IoTデバイスの設計・製造からクラウドシステムの構築まで、ハードとソフトの両方を一社で対応しているのが特徴です。
センサーの種類は傾き、振動、温度、湿度、歪み、風向・風速など、用途に合わせてカスタマイズ可能です。「電源のない屋外にセンサーを置きたい」「現場のデータをクラウドで見えるようにしたい」といったご要望があれば、お気軽にご相談ください。まずは小さく試してみたいというPoCからのスタートも歓迎しています。
LoRaやIoT導入について気になることがあれば、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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